第1クール終了

カテゴリー SAILING

帰国の朝ですが、電車が発つまでの時間を使ってナビゲーションソフトのレクチャーを受けました。既にノルマンディーチャネルレースのコースがインプットしてあります。スタートから順を追って説明してくれるジャン。なになに、去年は60ノット吹いた?ここの海峡は潮流が9ノットだ?話を聞いてるだけで眩暈がしてきました。うーん、最初からハードルが高過ぎたのではあるまいか・・・

しかも驚いたのが、5月14日のレーススタートまで、レースヴィレッジでは一切セーリングができないらしい。マジかよ。1週間も何するの?パーティー?インタビュー?そんなことより練習させてくれよ〜。

というわけで、残された練習の日数はごく僅か。いったん帰国し、来週月曜日にまたロリアンに戻ってきます。

今日は北田さんが所用で不在のため、ジャンと2人でバウワークを中心におさらい。ダウンウインドセールだけでもコードゼロ、A2、ミディアム、A5と4枚もあって、それぞれホイストの仕方も微妙に違うので頭がこんがらがります。こんなこと真夜中に30ノットの中でやんのかよ・・・

ところでここロリアンは、フランス軍の潜水艦工場があったので、戦時中ドイツ軍から激しい爆撃にあったそうです。心なしか街並みに風情がないのは、徹底的に破壊されて作り直した新しい街だからだとか。

さしたる名所もないロリアンが施策としてセーリングシティーを目指したのが約10年前。それがうまくハマり、いまやこの街の一大産業となっています。造船所、セールメーカー、リギンメーカー、計器や通信機器、各種のメーカーやショップが軒を連ね、マリーナには巨大なシェッドが聳えています。その中にはヴァンデグローブを終えたばかりのバンクポピュレールや、単独無寄港世界一周の最短記録を更新した100フィートトリマランのソデボなどが整備の真っ最中。

桟橋にはIMOCA60やクラス40、フィガロ、ミニ6.5などが所狭しと並んでいます。なかには先日女性クルーの参加を発表したばかりのボルボ65、東風も係留してあるし、かつて紹介した、スコータイプのミニ6.5を中古で手に入れて改造し、フルフォイリングで世界を驚かせたSEAirもここにある。なんだ、僕がいつもネットで追いかけてる情報の発信地はほとんどここじゃないかと。そのくらいこの田舎町はヨットとセーラーで溢れ返っています。これまで世界中のセーリングタウンを訪れましたが、規模の大きさではここがナンバーワンかも知れません。

マリーナにはフェンスもなければ駐車場もタダ、誰でも簡単に入ってこれるっていうのが日本だと考えられないですよね。うーん、葉山も日本のセーリングタウンとしてこういう発展の可能性はないものだろうか。もちろん規模は100分の1でも構いません。人口たった3万人の葉山だけど、ヨット業者の数は日本でも隋一のはず。オリンピックを契機にもっとセーリングを身近に感じられる町になったらいいな。山梨町長、一度ロリアンに視察に来ませんか?

はじめの一歩

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天気予報が急変したので、2オーバーナイトの予定を1ナイトに短縮したプランをジャンが作ってくれました。それでも300マイルと僕にとっては未経験の長さです。

20日の午後2時に出航。20ノットオーバーの強風の中、2ポイントリーフにステイスルを揚げ、ブレスト沖のウェイポイントを目指しました。見事に真上りです。

天気は悪い、気温も低い、波は悪い、こんなコンディションだとクラス40はスピードも上り角度も悪い。まさに拷問のようなファーストレグ。でも全然苦じゃないんだなこれが。

巨大なセールが生み出すパワーを、これまた巨大なバラストキールとウォーターバラストで推進力に変え、波を切り裂きながら進んでいく貴帆。人間一人の力ではどうにもならない自然の力を、物理法則でうまくコントロールして自分のものにする感覚は、ディンギーとはまた異なるものです。

そして夜。視覚に頼りがちな日中よりも五感が研ぎ澄まされ、波の音ひとつも昼間より大きく響きます。見上げれば雲は流れ、月もなく満点の星空。あーもう悔しいほど美しい。

日本にいれば愛する家族と暖かい我が家で眠れるのに、何を好き好んでこんなフランスの片田舎でオッサン2人が波をかぶっているのか。なかなか理解してもらえないかも知れません。僕にとっては無上の贅沢なんだけどw

結局午後6時にロリアンに戻るまで、28時間ほぼ休みなしでセーリングしてしまいました。後半はもうほとんどソロで北田さんを退屈させてしまったかも。楽しくて興奮してるんだからしょーがない。休みたくないし眠りたくないんです。

時間の都合でショートカットして220マイルほどしか走りませんでしたが、それでも僕にとっては最長航海でした。まだまだ元気だし、まだまだ走りたい。そのうちどこかで嫌になるときが来るのかな。うーん・・・いまのところその兆候は見当たらないですね。すっげー面白いぞ、クラス40。

Sailing is healing

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ドゴール空港まで12時間のフライト。そこから1時間半かけてモンパルナスの駅に移動し、2時間半カフェで時間をつぶして、TGVに揺られること4時間。ようやくロリアンに到着しました。パリから先が遠い・・・

一夜明け、北田さんとコーチのジャンと合流して、さっそく練習開始です。4ヶ月前に2日間乗っただけのクラス40。まずはリハビリとしてタックジャイブのマニューバを中心にメニューをこなします。

一つ一つのセールが大きいので、何をするにも時間がかかるし疲れます。ひとつ手順を間違うだけでさらに時間と労力を費やすことに・・・安全で確実な手順を覚えていかなければいけません。更に大きなIMOCA 60を一人で操っているヴァンデグローブのセーラーたちがいかに超人かを思い知らされますね。

それにしても楽しい。幸せ。こんな大きなフネを自分の意のままに動かすのは、得も言われぬ快感です。750リッターのウォーターバラストのおかげで、20ノット近い風でもフルメインで走れちゃう。いや〜快適快適。

今年に入ってセーリングしたのはシースケープ24の進水で2回だけ。こんなにヨット乗らなかったこと初めてかも知れません。半ば強制的にこうして日本を離れてセーリングに没頭できるというのは、いまの僕にとって最高の「癒し」です。ホント気持ちいい。

明日からは北田さんと2人で、2オーバーナイトの練習航海に出ます。電波が入らないので帰るまで更新はできないかも。とにかく安全第一で、思う存分潮風に吹かれて来ようと思います。

Off to Lorient

カテゴリー SAILING

なんとか前日に早稲田VSRの修理を終え、出発の朝を迎えることができました。今日からひとまず1週間、フランスに渡ってクラス40の特訓を積んできます。ワクワクするような、怖いような、楽しみなような、ブルーなような、いろいろ混ざった不思議な心境です。いってきます!

凛子卒業

カテゴリー PRIVATE

長女凛子が小学校を卒業しました。入学した春がつい昨日のことのようです。

6年前の3月15日、僕は幼稚園の卒園式に出ていません。一刻も早く家族を安全で安心な場所へ連れていきたくて、必死で荷造りをしていたからです。とても祝えるような心境じゃなかったというのも理由の一つでした。娘には申し訳なかったけど、もしまた同じような状況になっても、僕は同じ行動を取るだろうと思います。

幸いにしてほどなく日常を取り戻し、月日は矢のように過ぎました。無事に卒業の日を迎えられるのは、当たり前のことではないんだと学びました。多くの人の支えがあったからこそなんだと。

6年越しにようやくお祝いが言えます。凛子、卒業おめでとう。

Strong Ladies

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ボルボオーシャンレース2017−18に前回に続いてエントリーしている中国チーム「東風」ドンファンが、2人の女性セーラー加入を発表しました。

一人目はオランダ出身のマルチハルセーラー、キャロライン・ブラウワー。彼女は2003年のカディスワールドで、トルネード級で唯一の女子選手としてヘルムを取り、2位になったスーパーウーマンです。オリンピックにはヨーロッパ級から数えて3回出場しています。ボルボオーシャンレースにも過去2回出場。前回はチームSCAのキャプテンでした。

そして2人目はフランス出身のマリー・リウー。かつては470のクルーとしてもオリンピックに出場していますが、ナクラ17でビリー・ベッソンと組んでからは、無敵の王者として世界選手権を4度制覇。彼女のメイントリムは、梶本和歌子をして「とてもマネできない」パワフルさで知られますw

女性セーラーといってもこの2人、マジで世の男性の90%より肉体的に強いし、精神的にはもっと強い。話題作りではなく単純に戦力として選ばれても、まったく不思議ありません。

それにしても、いいカッパ着てまんなぁw 今回は応援しまっせ。

ここのところやたら忙しいけど、合間を縫ってコツコツと店の前でVSRの修理を進めています。11年前に納品した早稲田大学の紺碧です。

学生さんは使っている道具に何か問題があっても対処せず、結果さらに状況を悪くしてしまう傾向がありますね。例えばディンギーの船台でも、車軸がキーキー音を立てたまま使うから、ベアリングだけでなくホイールごとダメにしてしまう。音が鳴り始めた時点でタイヤを外し、ベアリングを洗ってグリスを塗ればいいのに。たった2分で終わる作業です。

あれ?こんな音がしたっけ?とか、水漏れしてたっけ?とか、何か動きが固いな?とか、変化に気づいたときにすぐアクションを起こす癖をつけましょう。そうしないと、すぐその悪い状態が当たり前になってしまうからです。その少しずつの積み重ねが、長い年月を経た時に大きな差になって表れます。

今回の修理はそのコツコツが貯まりに貯まって、かなりの難敵です。キレイさっぱり直れば、これまで以上に大事にしようという気持ちになってくれるはず。なんとか明日で終わるかな?

今日はホワイトデーなので、我が元パートナーの新たなチャレンジにエールを送りましょう。梶本/川田組がナクラ17で東京オリンピックを目指します。

川田は東大理3を出て着実にキャリアを積んでいた内科医です。同時に学生時代には現SBTJの吉田雄吾と470で北京五輪を目指し、研修医時代にはMach2でフォイリングにハマった生粋のヨット馬鹿でもあります。

そんな天才なんだか馬鹿なんだか分からない男が休職し、これまでの貯えを掃き出してまで東京を目指したいと、その強い思いに応えたのが我が元パートナー、梶本和歌子でした。2人は同い年。それぞれの名前を組み合わせてワカタカセーリングというキャンペーンを立ち上げました。そら応援せん訳にはいかんのです。

和歌子は日本で唯一のナクラクルーの経験者なので、川田にとって最高のコーチになるでしょう。しかも2人ともモス乗り。フォイラーになるナクラには最高の組み合わせなのでは?なかなか期待できるペアだと思います。

他にも若いセーラー数チームがナクラのキャンペーンを開始しているようで、僕らのキャンペーンも無駄ではなかったのかなと。うれしいですね。和歌子、川田、頑張れよ。

Super MACIF

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2012-13年のヴァンデグローブで優勝したフランソワ・ガバー。今回のヴァンデには出場しませんでしたが、フォイラートリマランによる世界一周を目指してトレーニングを積んでいます。

このなんだかよく分からないダブルハンドのトリマランで35ノット!恐ろしや恐ろしや。先々月にフランシス・ジョイヨンたちが”IDEC SPORT”で更新した世界一周の最短記録、40日23時間30分30秒は遠からずこのフランソワ・ガバーが更新する気がします。

100フィートのスーパーマキシ、”MACIF”にフォイルを装備して、今年の冬には記録に挑戦するんじゃないでしょうか。もはや世界一周はロングレースと呼べなくなってきました。フランスの冒険家たちは地球をどんどん小さくしてしまいますね。

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